お金持ちになりたい人・出世発展したい人は娯楽・お金持ちのような趣味に耽溺してはいけない、と南北は言います。
願望実現法で「すでにそうなったかのように振る舞う」メソッドがありますが、南北の主張はそれとは真逆にあります。
私は南北の謙虚で意志が強い所が好きなので、南北の主張を推したいと思います。
【目次】
遊芸にはまる人は出世しない
(修身録一巻)
人相が良くても、囲碁・将棋などの遊芸(遊びごとに関する芸能)にはまる人は、立身出世できない。
それを職業とする人は例外である。
一家の主で遊芸にはまる人は大凶。
本当に出世発展を望むなら、ただひたすらそのことのみ考えるべきで、それによって願いが天に通じて機会を得るのだ。
しかし遊芸は娯楽であり、少しの時間といえどそれに割く時は、出世発展しようという気持ちが中断されるから凶である。
仕事がどれだけ忙しくても、そのために出世発展の大望を忘れることはない。
しかし遊芸にはまると我を忘れてしまうので、慎むべきだ。
花壇の趣味がある人は、出世しない
出世・発展の相があっても、庭に花壇をつくり、これを楽しむ人は、一生出世できない。
このような趣味は身分・階級が高い人のものであり、天地の徳を失い、成功できないだろう。
例外としてそれなりに身分があり、高位の人を招待する機会がある家は、花壇があっても許されるが、花壇を趣味にしてはいけない。
貧乏な人は、お金持ちの趣味をまねしてはいけない
(修身録三巻)
小鳥を飼うことは、身分が高い人・裕福で働かなくて良い人が気晴らしにすることである。
貧乏な人が楽しみを先取りすると出世できない。
遊び半分で立身出世できるはずもない。
貧乏なのに金持ちの趣味をまねする人は、自ら貧乏を求めているのである。
小鳥を飼うことは、たとえ少ない時間でも時間が割かれ、その間仕事が滞る。
さらには仕事に集中できなくなる。
無駄な趣味を控えなければ、飼っている小鳥のように、鳥かごから解放されたいと思ったまま人生を送るだろう。
楽しみを求めれば、必ず後で苦労する。
楽しみを求めなければ、後で苦労することもない。
だからくだらぬ楽しみなど求めないで、自分の仕事を楽しみとして立身出世しなさい。
プラスとマイナス
他にも、「庭に築山・泉水のある家は、それ以後運気が衰える」と言っています。
そういうことは身分の高い人がすることで、身分の低い人がそのような趣味を持つと、心の中で頂点に達しているのでそれ以上の出世・発展はない、ということです。
遊芸にはまってはいけない、花壇の趣味を持ってはいけない、立身出世してからペットを飼いなさい、という南北の主張ですが、現代のストレス社会でそれらを守るのはなかなか厳しいです。
しかし「自分の欲望を制限する」と徳(幸運のもと)が貯まるので、南北の言うことは正しいです。
「物事は振り子のように同じだけ左右に揺れる」という法則があります。
ゆえに娯楽・ペット(楽・+の要素)にはまると、それと同じ分だけ苦労・困難(苦・-の要素)を背負うことになります。
徳があれば、娯楽・ペットの分の徳を失って相殺されます。
そうすると立身出世のための徳が減ることになります。
仕事と趣味のどちらを優先させるかはその人の自由ですが、何事もほどほどにした方が良さそうです。