【水野南北】人間関係における慎みの大切さ

玉座につく王様

南北は、「食の慎み」だけでなく人間関係においても慎みが大切だと主張します。

驕りによって徳を失うことは、食・人間関係に共通です。

生活全般にわたって「慎み」を心がけることが、徳を積むことに繋がるみたいですね。

【目次】

  1. 身分の高い人との交際と「徳」の関係
  2. 人間関係における驕りの危険性
  3. 「慎み」から行動する

身分の高い人との交際と「徳」の関係

(修身録二巻)

「自分は成功する相があり、身分の高い人との交際も多いのに、現状は貧しい」という人に対する南北の答え

たとえ発展の相があっても、高貴な人と交際する人は一生発展する見込みはない。

身分の低い人が身分の高い人と交際すると、徳を失う。

高位の人と交際すると、それがあなたの生涯における頂点となる。

しかし手柄によって有名になり、その身分に応じて高位の人と交際することは問題ない。

手柄をたてる前に、のんびりと高位の人と交際することは大いに天の徳を失う。

本当に成功したいなら、高位の人との交際を止め、お金持ちと交際する時は誠実を心がけ、弱者には慈悲の心を持ち、常に身のほどを知って驕りを捨てる。

このようにすれば、あなたの相のとおりに発展するだろう。

お金持ちがあなたを敬ったとしても、それは表面的であり、高位の人と交際して勢いに乗っているので、お金持ちは恐れ敬うのだ。

誠実な人は、そういう人間が近づくのを嫌う。

自分に徳が無く、他人の権力を借りるようなものだ。

人間関係における驕りの危険性

(修身録二巻)

心は四角にも丸にもなって器にしたがう。

良い人と交際すれば、自然と良くなる。

高位の人と交際すれば、自分もそうだと錯覚して、自然と驕りが出てくる。

商人なのに驕りが出れば、商売はうまくいかない。

乱世なら別だが、世の中が平和な時は、自分の仕事を疎かにして高位の人と交際すれば、絶対に発展できない。

身のほどを知らない愚か者は、高位の人と交際することを名誉と思い、大いに徳を失う。

ただし高位の人に仕えるのが仕事の人は、例外である。

「慎み」から行動する

その人の人間性は、弱者に対してどういう態度を取るかでわかります。

人間の内側にはたくさんの部分があるので、同じ人の中に「弱者を尊重する」部分と「弱者を見下す」部分の両方があります。

また「身のほどを知る」部分と「虎の威を借る」部分の両方があります。

南北のような人でも、若い頃は悪いことに手を染めているんです。

人間をやっている以上、どうしても考え方や行動に「驕り」の部分が出てくる危険性はあります。

でも強い意志を持って、「慎み」から行動する・考えることが大切です。

少しずつでいいから、「慎み」を選択していく。

たまに「驕り」から行動しても、また「慎み」に立ち戻ってみる。

その繰り返しだと思いますね。

以前の私は慎みが少ない人間でしたけど、色んなことを経験して自分の中の慎みが増えました。

今でもたまに、どうしようもない部分・驕りの部分が出てきます。

それはそれとしてきちんと向き合って、自分の中の慎み・謙虚さを育てていきたいと思っています。