【水野南北】お金を丁寧に扱うとお金に好かれる

銀行家

水野南北は「食の慎み」で有名ですが、食以外のことにも深い考えを持っていました。

お金に関する南北の考えを紹介します。

お金だけでなく、持ち物・家などを扱う時にも参考になる話です。

お金を丁寧に扱う

金銀(お金)は世のため人のため、昼に夜に世界をめぐっている。

父母が子を思うのと同じような役割を果たしており、その恩は大きい。

ゆえにお金を粗末に扱う人は、父母の恩を忘れたのと同じであり、いつかお金に見切りをつけられ、ついには家を失ってしまう。

お金を貯めたいなら、主君のように敬って、一銭(わずかなお金)といえども粗末にしてはいけない。

お金を使う時は心の中で拝み、「また我が家に戻ってきてください」と思いなさい。

このようにお金に接する時は何事もうまくいき、貧乏の人相でも相応の財産をなす。

人間で考えると、自分を敬ってくれる人の家は、訪問しやすく居心地が良い。

粗末に扱う人の家は、行きたくないし長居もしたくない。

お金も同じように思っているのだ。

貧乏や財産を失うのは、例外なくお金を粗末に扱ったからである。

お金持ちがお金を扱う態度には、自然とお金を敬う気持ちが出ているものだ。

コツ:お金を擬人化する

南北は、人に接するようにお金を扱うことをすすめます。

コツはお金を擬人化することです。

お金そのものは良いものですが、時代をこえてたくさんの人の考えがこびりついており、お金のイメージを悪くしています。

この世界のすべてのものには意識があるので、お金にも意識があります。

お金に対して悪いイメージを持ったり適当に扱う人の所に、お金は行きたいと思いません。

良いイメージを持って丁寧に扱ってくれる人を、お金は好みます。

さらに言うと、お金持ちには収入の一割(人によってはそれ以上)を寄付する人が多いですが、お金の性質を考えれば当然の行為になります。

つまり、お金は世界を良くするために循環するので、寄付(人の役に立つ)する人の所を訪問したくなるのです。

参考文献

(訳)玉井禮一郎「食は運命を左右する」たまいらぼ/1984年

若井朝彦「江戸時代の小食主義」花伝社/2018年