【水野南北】早起きすると運が良くなる理由

夜空を見上げる

食を慎むことで運勢は良くなりますが、それに加えて南北は「早起き」をすすめています。

人間の体には太陽の気が循環しており、早起きによってその気を補充し流れを良くすることで、運気が良くなるのです。

毎朝、太陽を拝む

(修身録三巻)

病弱な人は、日々朝日を拝むのが良い。

そうすれば心身ともに健康で、長生きするだろう。

毎日これを実行する人は、百歳まで生きられる。

(中略)

これは外国人に習った法で、陰徳を積むためにここに書き記すのである。

私はもともと短命の人相で寿命は三十歳までだったが、この法を実行し二十年寿命を延ばした。

病弱短命の人相の人に朝日の礼拝を実行させたところ、みんな病気とは無縁で長生きしている。

夜の仕事は大凶

(修身録三巻)

夜に働くのは大凶である。

日が暮れたら(午後六時)寝た方が良い。

夜働きたいなら、朝早く起きてその分働けば良いのだ。

そうすれば太陽の運行とともに命がめぐり、運気も次第に良くなって、裕福で長生きするのは間違いない。

夜に働いても朝はその分だけ遅く起きるなら、気分は良くなく何事もうまくいかない。

しかしその分早く起きるなら、まわりは静かで仕事がはかどる。

これこそ幸運なことである。

朝寝坊は貧困短命の原因であって、恐ろしいことである。

太陽と運勢

(修身録三巻)

人間として生まれて運が悪い人はいない。

人間は太陽の火を受けて生まれ、その太陽の火が昼夜を問わず人間の体を循環する。

それを運と言う。

運=命である。

ゆえに運命という言葉がある。

(中略)

人(ひと)という言葉は、天の火(ひ)が己(おのれ)に止(とど)まるという意味であり、火止(ひと)というのだ。

(中略)

人間が生きているうちは、運がないということは絶対にない。

運を良くしたいなら天の法則に従うしかない。

太陽は午前四時に東から昇り、止まることなく空を動く。

人間も同じように午前四時に起きて、毎日一生懸命仕事をすれば、天理にかなって運勢はだんだん良くなってくる。

運という言葉には、めぐる・運ぶ・稼ぐ、という意味がある。

自ら気をめぐらせ稼ぐことを、運というのである。

早起きして、少陽発達の気を受ける

(修身録三巻)

朝の太陽の光には少陽発達の気がある。

人がこの気を受けると、心気は自然とすこやかになり、心気がすこやかなら運命も自然とすこやかになる。

運は気につれて動くのであり、それで運気という言葉があるのだ。

よって遅く起きて少陽発達の気を受けない人は、たとえ人相が良くても運は良くない。

いつも朝寝坊をする人は、一生のうち七割を寝て過ごし、一割を食事に費やし、一割を遊び・旅行をして過ごし、最後の一割で稼ごうとするが、こんなことで立身出世するはずもない。

朝寝坊をする人はだらだらと夜更かしをするが、これは陰陽を荒らす盗賊である。

太陽が午前四時に昇ろうとする時、ぐっすり眠っている。

やっと午前八時頃起きるが、一日の開始が遅いのであせってうまくいかないことが多い。

昼の時間の半分しか働かないのに、運が良くなるわけがない。

身分を問わず運命を好転させたいなら、朝早く起きて一生懸命仕事をし、飲食を慎む以外に方法はない。

早起き+食の慎み

成功したいなら早起きしなさい、という話を良く聞きます。

それは、朝の時間帯は良い気(少陽発達の気・プラーナのことだと思われる)に満ちているからです。

日が暮れたら寝て午前四時に起きるというのは、会社勤めの人には無理ですが、できる範囲で早寝早起きをすれば良いです。

南北の話には説得力があるので、遅く起きるのが癖になりそうな時に読むと、「早起きしよう」という気になります。

早起き・食の慎みの二点を守れば運勢向上は間違いありません。

慣れるまで少しつらいかもしれませんが、それが習慣になると生きるのが楽になります。

参考文献

(訳)玉井禮一郎「食は運命を左右する」たまいらぼ/1984年

水野南北「開運の極意」

若井朝彦「江戸時代の小食主義」花伝社/2018年