過敏性腸症候群の人は、実はグルテン不耐症?

診察

セリアック病の治療法は小麦の完全除去ですが、セリアック病以外のグルテン不耐症(過敏性腸症候群と診断されることが多い)にも有効な治療法となります。

過敏性腸症候群と診断された人は、日常生活に支障をきたすほどの不快な症状に悩まされているのに、適切な治療を受けていないケースが多すぎます。

病院に行くと、ほとんどの医者は「精神的なストレスだね」あるいは「過敏性腸症候群です」と言って、適当に薬を処方するでしょう。

病院に行くのは、小麦の完全除去を試してからでも遅くはありません。

セリアック病

セリアック病:小麦関連の腸管疾患。

症状:激しい腹痛・下痢・貧血・片頭痛・関節炎・神経障害・うつ病・慢性疲労・体調不良

治療法:小麦グルテンの完全除去

グルテンタンパク質、特にα-グリアジンに対する免疫反応が引き金になって、自己の免疫系が小腸の粘膜を攻撃して炎症が起きる。(自己免疫疾患)

タイトジャンクションによるバリア機能

小腸の上皮細胞は互いに結合(タイトジャンクション)して、外部からの侵入(未消化の食べ物・有害な物質)を防ぐバリア機能を果たしています。

この「タイトジャンクション」は緩んだり、閉じたりします。

腸に異物が侵入した時、腸の上皮細胞は「ゾヌリン」というタンパク質を放出し、「タイトジャンクション」を緩めます。

それによって腸粘膜の細胞の間に異物を押し込め、免疫細胞に引き渡しています。

過剰分泌されたゾヌリンがタイトジャンクションを開く

小麦を摂取するとグリアジンが引き金になって、「ゾヌリン」が過剰に分泌されます。

過剰に増えた「ゾヌリン」は「タイトジャンクション」を開いて、上皮細胞間に隙間を作ります。(腸の透過性を高める)

この隙間から、腸内部にグリアジン・その他の巨大分子が侵入します。

これらの侵入者に対して免疫系が反応し、小腸の上皮細胞を攻撃して炎症を起こしてしまうのです。

治療法:小麦グルテンの完全除去

セリアック病は、生涯にわたって小麦グルテン除去が必要です。

しかし、悲観しないでください。

自分のことを「小麦製品を食べられないかわいそうな人」と考えるのではなく、「小麦摂取による異常な食欲・体調不良から解放された幸せな人」と考えましょう。

また、セリアック病ではないグルテン不耐症の人も、小麦の完全除去によって不快な症状が改善・消滅します。

セリアック病以外の病気も、小麦グルテン除去は有効な治療法となる

10年以上、潰瘍性大腸炎と戦っていた女性は、腹痛・下痢・出血に苦しんでいました。

おまけに潰瘍性大腸炎の薬が効かなくなって、専門医から結腸切除・人工肛門を作るように勧められたのです。

彼女のセリアック抗体検査は陰性でしたが、Dr.ウイリアム・デイビス(「小麦は食べるな!」の著者)は食事から小麦グルテンを除去するように言いました。

小麦断ちにより、体重は17キロ減少。

潰瘍性大腸炎は完治しました。

セリアック病ではないのに、彼女には小麦グルテン除去が有効だったのです。

過敏性腸症候群(IBS)

主な症状:腹痛・下痢・便秘・腹部膨満感

人口の10~20%が発症。

内視鏡検査を行っても器質的異常は見つからないが、実際は慢性的に機能的異常が生じている。

検査しても異常が見つからない不思議な病気

過敏性腸症候群はセリアック病よりも一般的な腸疾患です。

症状はセリアック病より軽度ではありますが、その症状は十分過ぎるほどに日常生活に支障をきたすものです。

しかし、検査しても異常が見つからないため、抗うつ剤を処方されることがあります。

過敏性腸症候群は十分理解されておらず、適切な治療がなされていないケースが多いです。

過敏性腸症候群の人は、実はグルテン不耐症だった?

IBSは病院に行かなくても完治は可能です。

病院に行くと、お茶を濁した診断(医者は「精神的なストレスですね」と言うでしょう)と不要な薬にお金を払うことになります。

過敏性腸症候群は、医者にとっては非常に便利な病名なのです。

水戸黄門の印籠みたいなものです。

原因がよくわからない時は、過敏性腸症候群と言っておけば間違いありませんから。

医者の心の声(う~ん、よくわからないなあ…まあIBSでいいか)

大切な時間とお金を使って、そんな茶番につきあう必要はありません。

過敏性腸症候群に有効な治療法は、小麦グルテンの除去です。

小麦断ちにより、IBSの症状は改善します。

この事実は、セリアック病マーカー値の異常・正常を問いません。

Dr.ウイリアム・デイビスは、小麦グルテン除去によりIBSが完治・改善した例は数え切れない

と言っています。

参考文献

(著)ウイリアム・デイビス(訳)白澤卓二「小麦は食べるな!」日本文芸社/2013年